公益財団法人イオンワンパーセントクラブ

第6回 中学生食の作文コンクール

書き方のヒント審査員の講評を
チェック

審査員の講評の中には、
作文の書き方についてのアドバイスがたくさん。
入賞に一歩近づく貴重な意見を読んでみましょう。

2019年度の講評

作文の書き方

審査していて感じたことは、せっかくの作品が、もう一歩のところで台無しになっている点です。段落がないまま書き終えている、食べ物の紹介ばかりで感じたことが書いていない、引用した固有名詞が正確さを欠いている・・・などです。

コンテストで入賞するためには、どのような作文がいいでしょうか。
他人と違う、少し変わった意見を書く、読んで涙が出るような話を盛り込む・・・???
コンテストの入賞を目的とした作文は、よそ行きの言葉になりがちです。
大切なのはあなたの素の言葉で書くことです。自分の言葉で、自分の考えを表現することです。
コンテストの審査員や、周りの先生は気にしないで、まずは原稿用紙に向かいましょう。

自分を中心に思考を巡らす

テーマが「大切な人とごちそうさま」だとします。すぐに書かないで、テーマに沿った構成を考えましょう。書くのと同じ時間をかけてもいいくらい、構成は大切です。メモを用意して、まず、どのような経験をしたのか。そしてどのように感じたのか。できれば、自分がそれでどう変わったのかまで検討します。

コツとしては、自分を中心に半径5メートル、10メートル、100メートルと徐々に広げて、思考を巡らすことです。冒頭から「世界の食糧事情は今・・・」と書き出すと、作文ではなく論文になってしまいます。中学生ですから、世界を考えることは大切で必要ではあります。しかし、まず身近な経験から、その後に徐々に広げて、大きな問題に結びつけて書く方が、読み手も安心します。

10代前半のみなさんが、半径10メートルでの体験を探すと、祖父・祖父母の手作りの料理にまつわるエピソードが多いようです。戦中戦後の食糧不足を知り、「もったいない」気持ちを持ち続けている人生の先輩との交流は貴重です。しかし、それを自分の言葉で咀嚼(そしゃく)しないと、貴重な体験が伝わりません。同じような体験をしていても、あなたが感じたことをあなただけの言葉で書くことによって、オリジナルの文章になり光輝くのです。

締めくくりを考え抜く

与えられた原稿用紙の8割以上を埋めると評価されます。安易な方法として「」で、行数を稼ごうと思っていませんか。「」はここぞというときに使いましょう。その人ならではのセリフのときに使うのです。場面の説明なら、「」などを使わずに書きます。メリハリがつきます。

また、最後に行数が余ったからといって、とってつけたようなありきたりな言葉を書いては、それこそ蛇足です。締めくくりの一文は、その作文の印象を決めます。考え抜きましょう。コンテスの入賞や、周りの大人の目を気にすると、結論がとてもきれいな言葉ばかりになります。「食べ物を大切にしよう」、「これからは残さないで食べよう」、「好き嫌いはやめよう」などなど。言葉にしてしまうと、きれいすぎて、読み手は「本当にできるの」といいたくなります。
「食べ物を大切にしよう」と書かなくても、読者に伝わる表現を考えましょう。心の中を書くのではなく、自分の行動のどこが変わったのかを具体的に書くと、説得力も増します。

毎日小学生新聞 元編集長

西村 隆